ロックウールとグラスウールの違いとは? 見分け方やプラント配管の保温剤としての機能性の差を紹介  

皆さん、こんにちは。千葉県市原市で、主にプラントや発電所などの保温保冷工事・板金工事を手がけている株式会社誉工業です。


これまでの記事でもご紹介してきましたように、プラント・工場の配管には適切な保温工事を施す必要があります。


その際によく使われる代表的な断熱材が、「ロックウール」と「グラスウール」です。


ロックウールとグラスウールは、見た目こそよく似ているものの、機能には様々な違いがあります。


保温工事においては、2つの違いを理解し使い分けることが大切です。


ここではロックウールとグラスウールの違いや、使い分け方について詳しく解説します。




■【比較】見た目そっくり!「ロックウール」「グラスウール」その機能面の違いとは?



ロックウールとグラスウールは、いずれも「無機繊維系断熱材」という種類の断熱材です。


ロックウール:

溶鉱炉で生成される溶融スラグ(残りかす)や玄武岩などの鉱物原料を、繊維状に加工して作られます。


グラスウール:

ガラス(リサイクルガラス)を主原料とし、石灰石などを加えて繊維状に加工して作ります。



このウール(羊毛)のような細かい繊維の間に空気を抱き込み、その空気の層が熱の移動を妨げるので、高い断熱効果を発揮するという仕組みです。


両方とも断熱性や耐熱性に優れており、プラント配管の保温材としてもよく使われています。


また、吸音性も高いため、防音目的で使われる場合もあります。


このように、ロックウールとグラスウールはよく似ている断熱材ですが、まったく同じというわけではありません。



▼ 【ロックウール】


ロックウールの特徴は、グラスウールに比べて耐熱性能が優れていることです。


グラスウールの:上限使用温度 250℃~400℃程度

ロックウール:上限使用温度 400℃~650℃程度

このように、より高い温度にも耐えることができます。


また、ロックウールは水や湿気に強いのも大きなメリットです。


水を弾くので、中に水分が入り込んだとしても空気層が保持され、断熱性能を維持することができます。


ただし、コストはグラスウールに比べて少し高めです。


とはいえ、防水工事にコストをかける必要がないため、水が入り込みやすい環境では結果的に割安になる場合もあります。


なお、ロックウールとグラスウールはどちらも防音性(吸音性)に優れていますが、これにも少し違いがあります。


密度が大きい場合に吸音性を発揮できる音域は、どちらも500ヘルツ~4000ヘルツ程度と幅広く、それほど違いはありません。


しかし、密度が小さい場合だと、ロックウールは周波数の低い低音域に、グラスウールは3000ヘルツ近辺の高音域に対して吸音効果を発揮します。


つまり防音目的においては、高密度での施工が難しい場合は、防がなければならない音域に合わせて素材を使い分けるケースもあるということです。



▼ 【グラスウール】


グラスウールの特徴は、ロックウールに比べて材料費が安く、低コストで施工できることです。


これは、原料の大部分がリサイクルガラスであることが関係しています。


広範囲に施工する場合は、特にコストの差を感じやすいでしょう。


断熱性もロックウールにこそ劣りますが、上限使用温度が250℃~400℃というのは十分な数字です。


実際にグラスウールは、プラント・工場の配管や空調ダクトの保温材・防露材として広く使われています。


一方、グラスウールは吸水性・吸湿性があり、水に弱いという弱点があります。


湿気の多い場所などで使用すると、水分が内部に入り込んで体積が縮み、断熱性能が低下してしまうのです。


防水工事によって弱点を補うこともできますが、そうなると余分なコストがかかるため、コストが安いというメリットが薄れてしまいます。


また、グラスウールはガラス繊維なので、素手で触れるとその細かい繊維が皮膚の間に潜り込み・・・痛みはないのですが、皮膚の表面が内側からムズムズしてだいぶ痒い!!


その細かい針全てを、大きな針のようにピンセットで抜くわけにもいきません。

もはやその針、物理的につまめる大きさではありません・・・


結果、しばらく痒みに耐えながら施工し続けなければならないことにもなりかねません。。

なので、軍手は必需品!



ただ、ロックウールでもかゆく感じる場合はあるため、ロックウールなら素手で触れても大丈夫というわけではありません。



▼ アスベストとはどう違うの? 健康被害はないの?


ロックウールとグラスウールは、どちらも繊維状の断熱材です。


そのため、「それってアスベスト(石綿)と同じようなものじゃないの? 健康に悪いのでは?」と心配する方もいるでしょう。


アスベストはかつて、建物の断熱材や防火材として幅広く使用されてきました。


しかし、発がん性があるなど、人体や環境へ悪影響を与えることがわかったため、現在では使用が禁止されています。


結論からいうと、ロックウールやグラスウールにアスベストのような有害性はありません。


なぜなら、極めて細かいアスベストの繊維に比べ、ロックウールやグラスウールの繊維は数十倍~100倍程度も太いからです。


これだけ繊維が太いと、仮に吸い込んでも肺に到達する前に鼻や気管支で除去されます。


また、ロックウールやグラスウールは非結晶性のため体液に溶けやすく、体内に侵入しても排出されます。


そのため、アスベストのように体内に蓄積し、人体に悪影響をもたらすことはありません。



WHO(世界保健機関)の下部機関である国際がん研究機関(IARC)も、ロックウールやグラスウールの発がん性について、最も安全な「グループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)」に分類しています。




■どのようなシーンで活躍? ロックウールとグラスウールの使い分け方



ロックウールとグラスウールは、どちらも断熱材としては優秀でありつつ、それぞれメリットとデメリットがあります。


では、プラント配管の保温材として使用する場合、どのように使い分ければいいのでしょうか?



▼ ロックウール


ロックウールはグラスウールよりも耐熱性に優れているため、高温になる箇所の施工に向いています。


たとえば、超高温になる製鉄プラントにおいて、熱で配管が変形してしまうのを防ぐといった用途が考えられます。


また、ロックウールは湿気に強いことから、周囲で水を使用するなど湿度が高くなりやすい環境下での施工に最適です。


冷水を運ぶ配管など、結露が発生しやすい箇所の保温工事に使われることも。



▼ グラスウール


グラスウールは低コストで施工できるため、他の点においてロックウールを採用する理由がなければ、グラスウールを採用するのが基本です。


それほど高温にならず、湿気を心配する必要もないような場所では、グラスウールでも安全かつ長期間使用することができます。


一般的な空調用ダクトや常温の液体を運ぶ配管などには、グラスウールによる保温工事が適しているでしょう。


また、湿気が気になる場合でも、防水工事と合わせた総コストがロックウールを下回るようなら、グラスウールを採用する余地があります。



▼ ロックウールとグラスウール、よく似ているけれど見分け方は?


ロックウールとグラスウールは、どちらも繊維状の断熱材なので、見た目はとてもよく似ています。


加えて、両方ともボード状の製品とマット状の製品があるため、見た目だけで判別するのは難しいでしょう。


ここまで見てきたように、ロックウールとグラスウールは機能面に違いがあり、間違えて設置すると大きなトラブルにつながる可能性があります。


そのため、施工する際は間違えないようにしなければなりません。


最も確実な見分け方は、パッケージを確認することです。


保温材・断熱材はパッケージングされたまま設置するケースも多く、その場合は施工後でも区別がつく場合があります。


パッケージから出して使用するのであれば、その前に必ずパッケージを確認し、間違いが起きないようにしておくことが大切です。




■誉工業はお客様のプラント環境を見て、最適な素材で管保温工事を実施します!



ロックウールとグラスウールは、どちらも優秀な断熱材です。


しかし、原材料が異なるため、その機能にはいくつかの違いがあります。


プラント配管の保温材として使用する場合は、それぞれの特徴をよく理解した上で、環境に適した方を選ぶことが重要です。


もちろん、保温工事自体も適切に行わなければなりません。


そのプラント配管の保温工事、専門業者として責任をもって担ってまいります。



誉工業は千葉県市原市を拠点に、保温・保冷工事や板金工事などを手掛けています。


様々な建物に対応しており、特に発電所やプラントの施工が得意で、年間200件以上の豊富な実績があります。


ベテランスタッフが多数在籍し、高品質な施工を提供できるのに加え、若手スタッフの機動力を活かして緊急のご依頼にも対応できるよう、努めてまいりました。


設計から加工、取り付けまで自社で一貫して対応しており、ご要望を施工に反映させやすく、中間マージンも発生しないため安心です。


ご依頼があれば全国どこでも対応可能で、緊急のトラブルにも対応いたします。


物件や施工箇所、用途に合わせて最適な工事を行いますので、まずはお気軽にご相談ください。